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スピーチの勘所(かんどころ)

スピーチ

クリスマス・クラシック・コンサート(ユーオーディア・アンサンブル)で司会をさせていただいた時の、1時間ほどの演奏が終わって、会場の400名の方々の拍手とともにアンコールをお願いする場面です。 このような司会をする場合に、私が心に留めていることをご紹介いたします。参考にしていただければ幸いです。

姿勢
大勢の方々が集まる前では、正しい姿勢が大切です。猫背、前かがみの姿勢は印象が良くありません。足は揃え、背筋をスッと伸ばします。体の重心は足の親指の付け根ぐらいになります。上半身が少し前に傾斜している感じです。
視線
一点を見つめるのではなく、広い会場を軽く見回す感じで顔を動かします。数字の「8」の形を横にした形で会場全体を見回す気持が良いと言われています。
原稿をしっかり作って、リハーサルしておく
コンサートはアンコールがあるものですが、司会者としてどのようなフレーズでアンコールにつなげるかが悩むところです。「良かったですね。アンコールをお願いしましょう。」ではあまりにも素っ気ないものです。そこで今回のような言い回しを工夫をしてみました。 その場で即興で話しているようですが、実際は原稿をあらかじめ作って、ほぼそのとおりに話しています。自分の部屋で何回もリハーサルしました。気持を込めて原稿の流れに沿って話すのがコツです。(NHKの歌謡番組のステージで、司会者が話すのと同じです)また、その場の雰囲気を察知して自分のことばでフレーズを入れていく機転も必要です。 吃音意識があっても原稿を作り、自分でリハーサルをしてチャレンジして下さい。
司会はスピーチ実践のチャンスです
司会の務めには、講演者(演奏者)の紹介を含め、プログラム内容をお伝えすること、ユーアをもって会場の皆さんにくつろいでいただき、気持を講演者(演奏者)に向けていくこと、会衆の皆さんの感謝の気持を講演者に送ること、連絡事項をお伝えすること、適切な表現で言葉数を最小限にとどめ、でしゃばることがないようetc・・・いろいろと配慮が必要です。

司会や発表のスピーチ感覚を更に育てたいと願っておられるのであれば、電話でのレッスンでコツを掴んでいただけることと思います。

準備すべきことがら

この記事をお読みの皆様の中には、セミナー、会議での発表、結婚式やその他の会合での司会・スピーチなど、人前でお話をなさる方々も多くおありかと思います。私なりの準備の方法を参考までにご紹介いたします。

  1. その場にふさわしいスピーチ内容、司会の流れのアウトラインを考える。
  2. そのアウトラインに沿って、話すことばをすべて文章化する。
    文章として書き出すことを怠ると、同じ事を言いかえしたり、文の末尾が不鮮明な冗漫な表現になってしまうものです。セミナーでのプレゼンテーションなどの場合も文章化をお勧めします。
  3. 実際に声を出してみて、棒読みでなく自分の言葉として話せるまで、完全に消化する。 文章の殆どを暗誦できるまで繰り返し、特に名前などの固有名詞を間違えることのないように、そしてはっきりスムーズに言えるようにしておきます。
  4. 人々の前で話している自分の姿をイメージする。
    全身が映る鏡の前に立って、背筋を伸ばしてマイクを持った姿勢や目線、表情(スマイル)などチェックしておきます。
  5. その場の雰囲気、動きをとらえたユーモアのある短いフレーズが言えるように、緊張の中にも心に余裕を与えておきます。

スピーチの際の心構え

吃音意識をもっての自己紹介、人前でのスピーチ、発表などは嫌なものです。嫌というどころか、恐怖そのものであり、大変なプレッシャーを感じ、出来ることなら逃げ出したいというのが本音だと思います。 しかしながら、心の持ち様によっては大きなチャンスです。

自分の名前すら言いづらいのに、スピーチなんてとんでもないとお考えになるかもしれませんが、人前で話をする機会がありましたら尻込みせずぜひなさってください。この姿勢があなたの前向き・肯定的な人生観を育む宝となることと信じます。

スピーチ上達の道

話し方の上手な人には、いくつかの共通するポイント(性格ともいえますが)あるように思います。もしあなたが性格的に無理とお考えでも、「こういう人で在りたい」と心がけることで、きっとかなえられると思います。

完全主義をとらない人
完全主義的な人は、何事にも完璧を期し、自らの理想を建設的な姿勢で追い求め、努力を惜しみません。きちんとしたイメージがあって、「~すべき」という気持ちが心にあります。あるべきことをしているということで、満足感を得ていきます。 けれど、話し方で完全主義をとりますと、ちょっとした言葉の詰まり、言い辛さが大変気になります。人前でのスピーチでちょっと間が空いてしまった、詰まったことがひどく気になってしまうものです。 多少どもってもOKという心の幅を持っている人は、良い意味で柔軟性があると言えます。
自己評価をしない人
朝の1回の電話で、上手く言えた、言えなかったかということは、その日の一日の気分を左右してしまうほど、影響力のあるものです。 自分の話し方を検討することは良いのですが、あれやこれやと考え始めると過度に神経質になり、吃音のこだわりを深めるだけです。 上手く言えたか、言えなかったかにこだわらずあっさりと受けとめていく姿勢が何よりです。
話す場を活用しようとする人
吃音意識があると、会合での自己紹介、スピーチなど避けたく思うものですが、自分の背中をポンとたたいて積極的にチャレンジする人でありたいものです。 電話応対、会合などでの話す場を多く持つことにより、緊張感の中で話す感覚が養われます。改まった場面ではことばが硬くなるものだと実感することは、日頃の話し方習慣を改めて見直すことの動機付けとなります。 話すことは学習ですから実践を重ねていくことは不可欠です。
自己開示できる人
「あなた、どもりますね・・」と言われても「そうなんですよ、緊張すると硬くなってしまって・・・まあ、これも私の話し方ですよ・・」などと、自分を隠そうとすることなくサラリと言える心の余裕が自己開示できる人です。 吃音は心の世界に関わることで、人には絶対知られたくないと思うものですが、自分の吃音意識を客観的に受けとめていくと、防衛心が解かれて自分が楽になります。
習慣づけられる人
安定した話し方の三要素は「息継ぎ(力みのない自然な腹式呼吸)」「伸ばす」「つなげる」です。出だしのことばを少し伸ばしたり、母音では「~させていただきます」の「い」を前の「て」と自然につなげていくなど、、家族や友人などとの日常の何気ない会話で、柔らかな発語感覚・スピード感覚を意識していくことを習慣としていくことが吃音改善のカギです。 どもらないように話さなければならない」「上手くはなさなければならない」と考えると、余計話すことに神経質になり自然な発語感覚が阻まれてしまいます。けれど、安定感を意識することは健全な意識習慣です。 「習慣は第二の天性」と言われますが、日常会話で安定感を意識していく習慣を培っていく人は改善の方向性を見失わず、緊張の場でもコントロールして話せる幅が広がっていくものです。
具体的な改善課題をもっている人
吃音は病気ではありませんから、生活に支障がなければそれで良い訳です。けれど学校や職場で、ことばを通して自分を表現する必要がでてきて、クリアーしていきたいと思うなら、その人は具体的に話し方を高めていく課題を持つことになります。 会合での発表・自己紹介、朝礼での挨拶、電話応対、アナウンス、接客、面接などのさまざまなお話し場面に出会うことは、自分の話し方能力を高めることにつながり、むしろ喜ばしいことといえます。 今置かれた環境をバネにしてチャレンジしていく人は、自分を高め磨いていく人です。

私のスピーチ体験

私も吃音のため小学生の頃から人前で話すことが難しく、スピーチなどは無縁の世界でした。けれど必要に迫られ話さなければならないことが多くなり、それを通して話し方の改善を意識してきました。
もう20年前のことになりますが、勤めていた会社では朝礼での3分間スピーチがありました。何かと紛争の多いギスギスした職場でした。その職場で、専務、各部長クラス、社員総勢70名ほどのオフィスでのスピーチが定期的に順番で回ってくるのです。
その前の晩ともなると、朝礼の重い雰囲気が想像されて、緊張で寝られないぐらいでした。当日はメモを見て(当時はスピーチ原稿を書く習慣はありませんでした)なんとか、つかえながらも話をしました。
その会社を辞めることになり、役職の上の方々に挨拶をしてデスクを回ったのですが、数名の方々から、「江田君のスピーチはためになったぞ」と言われたのです。吃音意識を抱えてとても上手く言えたというものではないのに、覚えていてくださったのだと思うと本当に嬉しくなりました。
こんな下手な話でも聞く人の心に残るのかと思うと、自分を肯定する力が出てきました。自分で自分をOKとするセルフ・イメージの力です。
自分ではスピーチが上手くいかなかったと思っても、聞く側では肯定的に受け止められているものです。 現在大勢の方々の前でお話をさせていただくことがありますが、スピーチを通して得ることはとても大きいことを感じています。

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