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吃音カウンセリング&レッスン体験談(26歳~29歳)(P.7) 朝礼での挨拶経験、他

(朝礼、挨拶、スピーチ体験 ①)

 朝礼当番の前夜に眠れなかったのが今となっては嘘のようです。

Sさん(茨城県在住 26歳 会社員 女性)

私が吃音に悩み始めたのは、社会人になって1年ほど経った時でした。初めは、電話に出る時の「ありがとうございます。○○です」の「あ」がどうしても発声できなくなったのがきっかけでした。その時は、「はい。○○です。」というような形で言葉を変え、対処していました。それから、自分の中で「ありがとうございます」の言葉に苦手意識が生まれてしまったようです。

私が勤務している会社では、朝礼の時「5つの挨拶」といって、決まった挨拶文句を当番の人が発声した後にみんなで復唱するのが日課となっています。その中には「ありがとうございます」の挨拶も入っていて、自分が当番になった時は、「この言葉言いにくいんだよなぁ」「また言えなかったらどうしよう」と不安を意識しすぎるあまり、この言葉を言おうとすると口の筋肉が硬直してしまい、息苦しくなってうまく発声できず、しばらく間があいてしまったり、ようやく声が出たと思えば「あ・あ・ありがとうございます」とどもってしまったりするようになってしまいました。

練習したからといってうまくいくはずもなく、こうして失敗を繰り返すうちに、日増しに苦手意識が強くなり、当番の前日は緊張のあまり眠れなかったり、失敗した日は憂鬱になって仕事への意欲がなくなってしまったりと、生活に支障をきたすようになりました。

そこで何か吃音を克服できるヒントがないかとインターネットで検索をしていた時に、この「さわやかカウンセリング」に出会いました。体験談を見ると、様々な悩みを抱えた方々がレッスンを通じて前向きに立ち向かっていらっしゃる事を知り、自分も少しでも改善できるようにチャレンジしてみようと思いました。また、良心的なレッスン料だったので気軽に始められました。

レッスンでは、正しい発語感覚を確認し、実際の場面を想像しながら発声することを心がけています。特に、会社での電話応対を想定して、先生が自宅に電話をかけてくださったり、自分からかけたりの実践的な練習は、大変役に立っています。

レッスンを受けて約5ヶ月になりますが、朝礼での挨拶当番の前に、レッスンで覚えた腹式呼吸を何度か繰り返すと、不思議と緊張が和らぎ、「ありがとうございます」もスムーズに発声できるようになってきました。それが自分の中で自信となり、以前のような不安感が軽減されています。朝礼当番の前夜に眠れなかったのが今となっては嘘のようです。

今までは2週間に1度の割合でレッスンを受けていましたが、これからは月に1度のペースで、自分の話し方を確認したり、調整習慣を身につけていけるようにレッスンを利用させていただきたいと思っています。

※ ひ と こ と :
「ありがとうございます。」は言い難いフレーズのトップ、No.1です。言いにくくなる理由は、「あ」という母音で始まること。「あ」は力みが入ると大変出にくくなります。また、お礼の挨拶なので相手とのタイミングを逃さず、すぐ言わなくてはいけないというタイム・プレッシャーが強くかかり、一気に言おうとするのでますます発語が硬くなってしまいます。
事務所で「お先に失礼します。」と声をかけることも場面により妙に意識に入ることがあります。

  

(朝礼、挨拶、スピーチ体験 ②)

 話し方のコントロールが出来るようになってきたと思います。

Tさん(東京都在住 27歳 会社員 男性)

私がレッスンを始めてもう2年余り経ちます。自分で言うのも、おかしいかもしれませんが、この2年でだいぶ自分の話し方のコツというか、先生がよくおっしゃられる話し方のコントロールが出来るようになってきたと思います。

私の吃音暦は物心ついてからずっとです。学生時代などはレッスンしている皆さんと同様、書き切れないほどの吃音体験があります。国語の朗読、自己紹介など嫌だったことを挙げればきりがありません。

小学校6年の運動会の時のことです。ひょんなことから運動会の応援団になり、ジャンケンで負けて団長をやることになってしまいました。運動会の競技以外に応援合戦というプログラムがあり、静まり返った観衆の中、団長の掛け声で始まるのです。吃音の私にとって不安でなりませんでしたが、その時先生に教わったのが腹式呼吸と言葉を伸ばすことだったのです。応援団ですから叫びに近いので、どもらず無事に終えることができました。

腹式呼吸と音を伸ばす発声は今に繋がる体験ともいえますが、その時は普段の会話に腹式呼吸を応用したりすることなどは全く頭に無く、そのまま時は流れました。

社会人になる年になり、話すのが少なくて済みそうな職種を選ぶかどうかで悩みました。基本的に人と接するのは好きですし、話すことから逃げるよりも、仕事で会話の場数を踏めば直ると思っていた部分もありましたので、営業職に就くことにしました。日々電話、接客、挨拶や会話をしなければ成り立たたない仕事です。

しかし、入社後、緊張の中無理な発語を繰り返し、ますます吃音と緊張、電話の苦手意識が出てしまいどうしようもないストレスがかかってきました。このままではまずいと思い、レッスンをはじめることになりました。

江田先生も吃音経験者と言うこともあり、吃音を持つ者の気持ちを良く理解してもらえていると同時に、吃音者だからわかる、的を得た話の操縦法を教えていただけてると思います。

小学生の時に一度は体験した腹式呼吸の応用や、伸ばして繋げる方法、普段の会社での応対の練習などなど、非常に実践的なレッスンもあり、回を重ねるごとに自分の話の操縦法もわかりつつあります。

今は仕事での緊張も減り、気持ちの面でだいぶ楽になりました。それはレッスンをしていることで、吃音状態に陥ったとしても、コントロールして持ち直せるという自信が少しはついたからだと思います。

長年の無理な発語でなってしまった言いにくい言葉もありますが、あまり神経質にならず良い意味でマイペースでレッスンを受けながら、更に話し方のコントロールに上達していきたいと思っています。

※江田よりのコメント:
今まで多くの方々と電話レッスンをさせていただいていますが、その中でもKさんの吃音の出かたは異質なものでした。「か」で始まる名前を長年無理な発語で通してきたので、日本語の発音にはない、喉の奥で息を逆流させる腹話術的発声しかできなくなっていました。
2年間に渡るKさんの地道な実践努力により、今ではあの奇妙な腹話術的発声はなくなり、正常な話し方になっています。



(朝礼、挨拶、スピーチ体験 ③)

 前に光が灯ったような希望があります。

Wさん(岡山県在住 27歳 会社員 女性)

レッスンを受け始めて約4ヶ月になります。この間、自分の思いがどのように変わってきているかをまとめるのも気持ちの整理になっていいというお勧めがあり、また同じように吃音で悩んでいる方にとって、少しでも励みになればと思って、今の私の思いをそのまま書かせて頂きます。

まず始めに、このさわやかカウンセリングのレッスンを受けることができて本当に良かったなぁと心から思っております。

吃音が出て、意識し始めたのは親元を離れて大学に入ってからでした。今から考えると小さい頃から吃音の気は少しあったのかもしれませんが、高校までは授業でも普通に手をあげて発言していましたし、声が出ない、言いたいのに声が思うように出てこず話せないという思いで悩んだりしたことはありませんでした。

しかし大学に入り、今までとは違う環境の中で、ストレスやまたいろいろな悩みもあってか、言葉が言いにくくなってきました。授業の始めに50~100人くらいの大人数で出席をとることがありましたが、自分の出席番号と名前をどんどん早いもの勝ちで言わなければならないことがあり、タイミングを逃して言うのが遅くなってしまうと遅刻とまではいかなくても、遅れて来たと思われてしまうようなことがありました。その時、一度つかえてしまったことが言い難さを感じた最初の経験でした。その時は少し言いにくいなと感じる程度で、それが吃音というものだとも知らず、周りの人に相談しても「気のせいだから」と言われる始末で、自分でもそのうち治るだろうと思っていました。

それから、その他にも様々な要因などもあったと思うのですが、少しずつ悪化していって、言えない言葉がどんどん多くなり、2年ほど経つ頃には、日常生活に支障をきたすほどなってしまい、将来への不安も増してきました。家族や仲の良い友達と何気なく一言しゃべるのでも言葉が思うように出てこず、とても苦痛なところまできていました。

当初母は、気のせいだし大したことではないから病院へ行く必要もないと言っていましたが、さすがに心配してか、ある時、いい精神科のお医者さんがいるというところを聞いてきてくれて、思い切って病院へ行こうと付き添ってくれました。診察で、今はとても大学へ行ける状態ではない、休学をした方がよいということを言われ、ものすごくショックで目の前が真っ暗になりました。

話は前後しますが、その間、いろんな方に相談したり、またカウンセリング(一般の)や、相談室、病院などへも行き、今は飲んでおりませんが、当時は安定剤や睡眠薬など薬も3~4年間ほど服用しており、心も体もボロボロでした。そして「吃音は治すことはできない。自分の個性だと思って付き合っていくしかない」と言われ、ものすごく落ち込んだのを覚えています。

大学復学はもっとかかるだろうと言われてたのですが、結局半年間で無事復学し卒業することができました。面接で自分の名前も言えないだろうし、仮に受かったとしても、人と関わって話さなければならない仕事はできないだろう、誰とも一言も口をきかなくていい仕事がしたいと思っていた就職も、あれほど心配していたのですが無事決まりました。

職場での最初の仕事は入力作業中心の仕事で神経をすごく使い、残業も毎日のようにある、かなり厳しいものでしたが、上司の方に吃音のことを理解して頂いてたので、人と話したり電話をするよりはいいと頑張りました。

しかしその後、受付事務のある今の部署で仕事をするようになりました。挨拶や電話応対などでは声が出なくなったり、思うように言えなくなって、胃に穴があくほどの思いで苦しんできました。

ある日もうどうしようもない、これ以上もうどうしようもないというところまできてしまって、家族にもあたり散らしてしまった時、母がインターネットなら何が方法が載っているかもしれないと言いました。吃音を治す方法があるならとっくに実行していると思いつつも、藁にもすがる思いで検索したところ、江田さんのこのさわやかカウンセリングが目にとまりました。

かつて文章を音読する時、事前に何回も何回も練習していくのですが、いざ本番で言おうとすると詰まって声が出てこず、とても聞いていられたものではなく、読んでいる私自身もすごく苦しくてその後は自己嫌悪に陥っていました。

けれどこのカウンセリングのレッスンを受けてから、あれほど今まで苦しんできた音読の効果がすぐに現れ、1週間ほどでびっくりするほど読めるようになりました。この8年間、書いてある文章をまともに言うことすらできなかったのに、音読がすらすらできるようになったのです。これはもう自分には信じられないことで、その時はもう嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。

テキストに沿っての文章はだいぶちゃんと言えるようになってきたのですが、実際の会話ではまだまだ自分の話し方の調節習慣として身についておらず、今意識しながら取り組んでおります。

私が吃音であるということを打ち明けていた周りの友人から「本当によくなってきているね」と喜んでもらったときは、私自身も本当に嬉しかったです。

このレッスンを受けるまでは「私はもう一生この吃音で苦しんでいかなければならない。私はこの吃音のせいでやりたいことも何もできないんだ」という吃音さえなければという諦め、絶望感、そして「今日もまた言えなかった」という、自分自身立ち直れないくらいの挫折感、自己嫌悪でいっぱいで目の前は真っ暗でした。

しかし、このレッスンを受けるようになってからは、きちんと的確にアドバイスしてくれる人が見つかり、これからどうなるのかといった不安を持っていた今までに比べると、気分的にも安定して、実際の楽な声の出し方も分かるようになりました。以前に比べたら本当に楽にことばが出てくるようになり、話すことへの負担も少しずつですが確実に軽くなってきています。

何より嬉しいことは、一生このままなんだと絶望していたのが、前に光が灯ったように、良くなるんだ、確実に話せるようになるんだという希望をもつことができたことです。本当に感謝しております。

※江田よりのコメント:
レッスンを通してNさんご自身が、吃音意識をどのように受け止めていくか、そして自然な発語感覚とはどのようなものかを自分の感覚でとらえられるようになっておられることが、安定した話し方の感触を掴んでおられるのだと思います。




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