ホーム  診断チェック・リスト > 言葉が出ない

吃音(どもり)心理あれこれ(4)

発語不安があっても話し上手になれるものです。

この言葉が詰まる、あの言葉が出ない、出にくいなど、発語不安を抱えた心境は実に嫌なものです。「詰まる不安なく自由に話せたら・・」「吃音が治ると不安なくどんな場合にも自由に話すことができることだろうに・・」と思います。
確かに改善の最終レベルは、どのような場合でも発語不安なく話せるようになることでしょうが、大切なのはその過程です。

私の改善のたどった道を振り返りますと、発語不安の感情が場合によって浮き出てくるものの、実際にはことばがひっかかることなく、ほぼ100%コントロールして話していた時期が5年間ほどありました。発語不安感情が湧き出るままにさせておいて、ただ正しい話し方の習慣を身に付けていくことに意識を向けていったことが良い結果をもたらしたと思っています。
現在の私は、発語不安は記憶としてあるのみで実際の感覚として浮き出てくることはありません。

発語不安をかき消そうとしたり、不安感情が湧き出た時「ああ、まだ吃音は治っていないのだ。いつになったらこのイヤな思いが起こらなくなるのだろうか」と思うことがあっても、サラリと受け流していくのが賢明です。

「私は言葉が詰まる時があるけれど、安定した話し方を心掛けていこう」という姿勢で日々の会話、スピーチに臨んでいただきたいです。周囲の人からは話し方上手と映るものです。

吃音(どもり)の囚われ意識から抜け出しにくい理由。


とらわれ意識に悩む男性


幼児期に言葉が詰まり始め、成人する頃には殆ど消えている場合でも、仕事での業務連絡など、正確に話すことが要求される立場に立たされますと、再び詰まる意識が浮上してくる場合が多々あります。このような時は、発語不安を除こうとすればする程、逆に意識に入ってことばが硬くなり言い難くなってしまうものです。

改善が我流では容易でない理由のいくつかとして次のことが挙げられると思います。

  1. 本来の安定した話し方がどういう感覚であるのかがわからない。
    適切な正しい話し方で話す意識付けが必要なのですが、腹式呼吸を基本とした息継ぎなどを適用していく具体的な方法などはわからないものです。
    多くの場合、「言えるか、言えないか」という心理的駆け引きの世界で無駄にエネルギーを消費するだけで、実際にどのような話し方の意識をもっていけばよいのかがわからないまま、無理な言い方を重ねてしまうことになります。
  2. 発語不安の感情が忌まわしいものだと受けとめてしまうこと。
    言葉が詰まりブロックする経験すると、また言葉が詰まるのではないかという不安感情が出てきます。言いたくても言葉が出ないことはとても恐ろしく不安な経験であり、これを一度経験すると、「また言えなくなるのではないか・・・」という不安は折々の場面で浮上してきます。
    改善のプロセスで大切なことは、不安感情が出てこないようにするのではなくて、不安感情の中でも自分の言いたいことばを話すことのできるコントロール領域を広げていくことです。発語をコントロールできるようになっていれば、詰まる不安があったままでも全く問題はないのです。

発語不安はあってはならないと考え、それをかき消そうという努力は、逆に話し方の神経症的傾向を深めることになってしまうものです。

意識する音をはっきり言おうとすることは、ますます硬い発語にしてしまいます。

ことばは音の流れです。普通に話す時は、ひらがな一字一字を意識しているわけではありません。
ところが何かある音が意識されると、その音をはっきり言おうとする傾向があります。例えば「~させていただきます。」の「い」を意識するようになると、相手に「いただき」がはっきりわかるように「い」を強調して言おうとするものです。
意識する音は前の音につなげて、軽く流していきましょう。

安定した話し方習慣を身につけるコツ。


安定した話し方習慣


安定した話し方習慣をいかに身につけていくか・・・これが電話レッスン指導での要(かなめ)の部分です。
例えば、「日常会話では全くつまらないのですが、電話での名前だけがつまるのです」とおっしゃる方の場合、日常会話で特に次のような意識の持ち方を習得していただきたいです。

それは、話をしている自分(運転席でハンドルをとっている自分)と話し方を観ている自分(助手席で運転の仕方を観ているもうひとりの自分)のふたりが心の中で対話をする状態を意図的に作っていくことをお勧めします。
リラックスして調子よく話せる時こそ、助手席のもうひとりの自分が「ちょっとスピードを緩めて・・」「間を入れたほうがいいよ」とか「語尾を伸ばした方が安定するぞ」などと声をかけるように意識します。

この意識化は安定した話し方を意識させるものですので、話すことに神経質になるということにはなりません。どもらないようにという意識ですと神経質になり、自分の話し方をチェックするようになってしまいます。

この日常の意識習慣が培われてくると、電話やスピーチなど、発語を意識せざるを得ない場面に臨む時、今までの心の対話の延長として対応できる幅がついてくると思います。
反対に、日常での安定した話し方の意識化が出来ていないと、発語不安が浮き出てくる途端、リズムが狂い、修復が大変です。

家族や友人などとのリラックスした場での会話で、心の中で安定した話し方を意識化していく習慣作り・・・。これが安定した話し方につながる極意だと思います。

※下のフッターの 「診断チェック」心理(1)~(3)で、更に多くをお読みいただけます。