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 面接に備えて
吃音(どもり)を持つ方のための
面接対策

吃音(どもり)を持つ方の不安な場面のひとつは面接です。面接では正しく明瞭に話すことが要求されます。

このページでは面接のマナー一般について、また、吃音がある中でどのように対処していけば良いかをご紹介します。

面接という改まった場での正しい話し方や心構えを整理してみましょう。


吃音を持つ女性の面接の様子

      ■ 目 次
 1.面接の準備
 2.面接の当日
 3.面接室に入るとき
 4.面接中のマナー
 5.面接での話し方
 6.面接室から退出するとき
 7.吃音であった私(江田)の面接体験
 8.受講生の面接体験談

 

面接の準備

面接でどのような質問を受けるかのシミュレートを予めしておきます。自分の答えを文章化して、実際に声に出して練習しておきます。

「失礼いたします」「よろしくお願いいたします」「◎◎と申します」などの決まりフレーズも、緩やか明瞭な言い方で練習します。吃音があると早口で言おうとする傾向がありますので、あくまで丁寧な言い方を練習します。

椅子に腰掛けて、背筋を伸ばした良い姿勢を確認します。手は膝の上の姿勢です。


面接の当日

会社までの時間にゆとりを持って出かけます。
時間にゆとりを持つことで面接で想定される質問の答えの整理など、心の余裕が生まれます。
そして少なくとも5分前には会社に着いていることです。服装、髪などもチェックします。約束の時間になったら受付に申し出ます。
遅刻は厳禁です。万が一交通事情などで遅れるようなことがあったら、会社の面接担当者に電話を入れます。ゆっくりと丁寧に話すようにします。慌てて早口で言うことは避けましょう。ここからすでに面接が始まっているととらえてください。

受付では面接の趣旨を伝えて、指示を待ちます。コートは脱いで、携帯電話はオフにしておきます。

控え室では着席して呼ばれるまで待ちます。心の準備をする時とします。静かに腹式呼吸をするのも良いと思います。

面接室に入るとき

案内されたら落ち着いて入室します。
ドアが閉まっているときは、軽くノックして面接担当者から「どうぞ」の指示があってから開けます。ノックしても何も返事がない場合は、「失礼いたします」と言ってドアを開けます。

面接室に入ったらドアに向き直って閉めます。後ろ手で閉めるのは良くありません。

「お座りください」との指示があるまで、椅子の横に立って待ちます。

面接担当者が入室する場合は、「よろしくお願いいたします」と挨拶して、一礼します。座っていたら立って一礼します。


吃音を持つ男性の面接場面
  

面接中のマナー

書類や筆記用具などがカバンからすぐ取り出せるようにしておきます。カバンの中を探して出すことは、準備ができていないことで面接担当者に悪い印象を与えてしまいます。

面接担当者から名刺を渡されたら、自分の名前を名のり丁寧に受け取り、向かって左に置いておきます。

面接中の姿勢は、背筋を伸ばし、手を両膝に軽く乗せておきます。


面接での話し方

吃音があると声が小さくなりがちですが、少々どもってもその場に適した大きな声で話すようにします。小さな声は自分のなさが伝わります。どもったらいけないと思うのではなく、多少どもっても自分の積極的な姿勢を示していくことが大切です。   

話す時は相手の目を見ます。時折、ネクタイの結び目などに少し視線を動かすのも良いかと思います。うつむいて話すことはNGです。

質問を受けたとき、「はい」と返事をしてから話し出します。

吃音があると早く言い終わらそうという意識が働いて早口になることがあります。緩やか、丁寧な話し方を心がけます。

相づちを打ちながら会話のテンポを守ります。

質問の意味がわかりにくかったら「恐れ入りますが、もう一度ご質問をお願いできますでしょうか」と聞きます。

面接室から退出するとき

書類や面接担当者から渡された名刺などを、丁寧に扱いながらカバンにしまって立ち上がります。

椅子の横に立ち、「ありがとうございました」と礼を言い、ドアの前で面接担当者に一礼してドアを開け、静かに閉め退出します。



吃音がある男性の面接場面

吃音であった私(江田)の面接体験

学生から社会人となるとき、初めて会社で面接を受けたときのことです。一通り面接が終わったとき、面接担当者から「きみ、どもるね」と言われました。吃音であった私は正直に「はい、緊張するとどもってしまいます」と答えました。

今回の面接は不合格と思っていましたが、後日採用通知が届きました。吃音があっても必ずしもマイナスになるということではないと思いました。

吃音があっても、誠実に話す姿勢があれば正しく評価されるものです。


 受講生の面接体験談 
「心配だった面接も上手く話すことができました」

 Iさん(岡山県在住 22歳 大学4年 女性)
(写真はイメージです)

女性

親の話によると、私は小学生の時から吃音があってどもって話す傾向があったということですが、私自身はあまり気にしてませんでした。

しかし中学生の時、授業で当てられ、答えは分かっているのに声がでなくなる経験をしました。そのことがきっかけで、どもることを意識するようになりました。

それからは、話すことに対して自信がなく、人前で話をする場面を避けるようになりました。私は保育士になるという幼い頃からの夢がありました。大学に入るまでは、子どもが好きという気持ちさえあれば大丈夫だろうという甘い気持ちでいました。

しかし実際に大学に入学すると、グループ討議・模擬保育・実習など人前で話す機会が本当に多く、苦手なことばかりでした。人間関係は恵まれていて、失敗しても笑われるくらいでしたが、常に話すことに対して劣等感をもつようになり、どうして自分だけ普通に話すことができないんだろうと悩んでいました。

それでも、保育士になるという夢は持ち続け、なんとか治そうとインターネットで調べて音読や発声練習をしましたが、効果はありませんでした。

そして就職活動の時期に入り、本当に治さなければならないと思っていた時、さわやかカウンセリングのサイトを見つけました。

正直、本当に治るのかな?と不安に思っていましたが、体験談を見て、吃音で苦しんでいる沢山の人達を助けている人なら信用できると思い、トライアル・レッスンを受けることに決めました。

初めてのレッスンの時は、とても緊張しましたが、江田先生の声を聞くとすぐに落ち着くことができました。先生の声はとてもゆっくりで、聞き取りやすく吃音を持っていたとは思えない話し方でした。先生ご自身の体験を踏まえた話を聞くと共感でき、すぐに受け入れることができました。

私は今まで吃音を治さなければならないと焦っていたのですが、先生に「治そうとしないでください。詰まる意識があっても調節して話せるようにしていきましょう。」と言われて考え方から変えることができ、それだけでも気持ちが楽になりました。また、レッスンを通して、自分が普段とても早口で話していることを実感しました。先生から、私が目指している保育士の仕事は子どもを相手にするため、ゆっくり丁寧に話すことが大切だというお話を聞き、早口を直したいと真剣に思いました。

レッスンでは主に腹式呼吸や詩や会話文の音読、電話応対のシュミレーションを行います。言いにくい言葉で引っ掛かかってしまっても「いい話し方ですよ。」と褒めていただいたり、「ゆっくりと音を繋げることを意識して」などとアドバイスをくださるので気持は楽です。

そしてだんだんと話すことに対して確実に前向きになってきました。ここ最近では、幼稚園での実習や、希望の保育園へのボランティアや採用試験、面接など、人前に出て話す機会が沢山ありました。
実習で子供たちに絵本の読み聞かせをしたとき、私の読み方を褒めていただくことができ、嬉しかったです。さらに、保育園でのボランティアでは好印象を持ってもらえました。

吃音のある私にとって面接で上手く言えるかどうか、不安でした。レッスンを受ける前の私だったら、またどもったらどうしようと悪い方にばかり考えてしまい、上手くいかなかったと思います。

レッスンでは面接の練習をしてくれたので、面接場面のイメージをつかむことができました。面接当日は、どもっても大丈夫だからゆっくり丁寧に話すようにしようと心掛け、自信をもって話すことができました。嬉しいことに、希望の保育圓に正社員として採用していただくことができました。

まだ、話し方が不安定になってしまう時もありますが、良い話し方を身につけ、保育園での仕事では、子ども達や保護者の方々から信頼してもらえる保育士になれるようにしていきたいと思っています。



※下のフッターの 「診断チェック」心理(1)~(3)で、更に多くをお読みいただけます。