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吃音改善 体験談(40歳~49歳)(P.9) どもる恐怖が薄れ、心がさわやか、他

 これからの人生、話すことに自信をもって、勇気をもって生きていく決心をいたしました。

Kさん(青森県在住 40歳 自営業 男性)

私は物心(ものごごろ)のついた頃から、どもることで悩み、苦しんできました。小さい頃からずっとばかにされたり、いじめられていました。友達も一人もいなく、学校でしゃべったことなど、ほとんどありません。暗いトンネルの中で過してきたような学校時代でした。
当然、学校は行きたくなかったので、休むことが多く、中学は義務教育なのに、なんとかぎりぎり卒業したようなものでした。行きたくなかつた高校は3か月で中退しました。吃音のせいで、とはいいたくないのですが、本当に辛い学生時代でした。

高校を中退してから、働かなければいけないと思い、たくさんの会社の面接を受けましたが、一番最初に聞かれる自分の名前すら、どもってまともに言えなかったので、学歴がどうこうの前に、すべての会社で不採用でした。自分は働くことも出来ないのかと、途方に暮れる思いをしました。

でも、不幸中の幸いか、実家が商売をしていました。本当は、自分の事を分かる人が誰もいない、実家から離れた遠い所で働きたかったのですが、いやいやでしたが、家の店を継ぐことになり、現在に至っております。どもりでありながらも社会人として、会社でバリバリ仕事をしているという話を聞く度に、本当にすごいと思います。私の場合、もし実家が商売をしていなかったらどうなっていたことだろうと思うと、正直ゾッとします。

実家で働くようになっても、学生時代となんら変わらなく、人と話す訳でもなく、電話が鳴っても出る訳でもなく、お客様にもまともに挨拶ができず、普通の会社だったら、完全にクビになるような状態でした。

このままではいけないと思い、吃音を治す方法をインターネットで調べ、どもりは治るとうたっている教材等を片っぱしに購入し自分なりに一生懸命に頑張ったのですが、何をどうやっても改善する気配すらなく、とうとう人生をあきらめる一歩手前までいってしまいました。そんな時、さわやかカウンセリングのホームページに出会いました。

どうせまただめなんだろう、と半分諦めの気持ちをもちながらも、電話でのレッスンを受けることにしました。

レッスンを始めた頃は、今までの人生の中で、何十分も話をするといった経験がなかったので、ただ疲れただけでしたが、次第に慣れてくるにつれて、普段の生活の中でも少しずつ変化が表れるようになってきました。

そのひとつが電話応対でした。それまでは、電話をかけるときは、何時間も前から心の準備をして、周りに誰もいないことを確認してから電話をかけていましたが、今は受話器を持って、会社の名前と自分の名前を言えるようになりました。今でも緊張はしますが、以前よりはだいぶ電話応対が楽になりました。職場の人からも、積極的になったね、と褒められました。吃音が少しだけですが改善されたことによって、本当に久しぶりに褒められことが、涙が出るくらい嬉しかったです。

私は現在ちょうど40歳です。働くということは、人の役に立つことなのだということをこの歳になって知りました。まだまだこれからの人生、たくさんの人達の役に立たないといけないと思っています。

私は、既に申しましたように、学生時代はいじめられ、友達もいなかったので、成人式や同窓会などに一度も参加したことがありませんでした。

でも先日、本当に勇気をふりしぼって、中学校の同級会に参加しました。そうしたら、同級生が異口同音に、とても明るくなったね、と言ってくれました。そして、いじめていたのは、ごく一部の人達で、ほとんどの人が、私の事を心配してくれていた事を初めて知りました。今まで勝手な思い込みをしていた私は、本当に馬鹿だったと思いました。同級生の優しさを、初めて感じることでき、勇気を出してみんなと会えて本当に良かったと思いました。

これからの人生、話すことに自信をもって、勇気をもって生きていく決意をいたしました。

※江田よりのコメント:
Kさんは電話でのレッスンでは普通に話されますので、この体験談を読ませていただいて、このようなご苦労をしてこられたことを改めて知り、驚きました。
長年に渡って繰り返された歪んだ発語感覚は一朝一夕には修正できませんが、改善に向けての具体的な方向に向かっている限り、安定した話し方を育てていけることを信じています。

 新しい発語感覚を身に付けつつあります。

Sさん(静岡県在住 45歳 会社員 男性)

私は幼少の頃からどもっていましたが、さほど気になる程度ではありませんでした。自分ではっきり吃音を意識し始めたのは、小学3年生の国語の時間の音読がきっかけでした。つっかえながらも本読みをしたのですが、クラスメートにからかわれ、今でもその事を思い出します、

この経験をしてからというもの、授業での本読みを完全に拒絶するようになり、ただ本を持ったまま黙って立っていて、担任の先生と根気比べをするのみでした。中学3年までそんな状態でした。その時の辛い心理状態は計り知れません。クラス全員の視線は重圧そのもの。穴があったら入りたい気持ちでした。当時はかなり重い吃音だったと思います。

人前で音読ができない状態でしたので気持ちが学習になかなか集中できず、国語、社会、英語など成績は振いませんでした。それでも中学3年の時、高校だけは入りたいと思い必死で頑張った記憶があります。

高校在学中、A先生(恩師)にお前どもるのか?と聞かれ、どもることがばれたかと思いその時は赤面してしまいました。先生から毎日大きな声で本を読めと言われ、毎日長時間声を出して本を読みました。

そのお陰で全く読めない時に比べるとかなり上達したものの、これ以上は良くなることは無理と思いました。そしてそのまま40歳を過ぎてしまいました。

40歳となりますと社会でいろいろ人前で話す機会が増えてきます。ことばの引っかかり意識はずっと引きずっていました。文章を一人で読む時は良いのですが、人前で自分の名前や会社名などの特定の音(タ、カ行)になると舌が口の中でくっ付いて離れないのです。この年まで何とかごまかしながらやってきましたが、もうそうは行きません。

何とかしようかと思い、心理カウンセリング、催眠療法などに通いましたが、何も変わりませんでした。

そうこうしているうちにも、いろいろ人前で話す機会が増え、焦る気持ちが強くなるばかりでした。どうしたら良いのか・・・そんな時、インターネットで吃音関係のことが沢山書かれているなか、「さわやかカウンセリング」にたどり着き、連絡を取りました。

実際に話を聞いてみると、今までの私の吃音に関する考え方と180度違い、これならと思いました。 緊張しながらも安定した話し方にもっていくこと、音をうまくつなげ言葉にしていくこと、細かな息継ぎをしないで自然に声を出すこと、詰まる意識を否定しないこと、等々・・・。これらのことは私が今まで気がつかなかった捉え方です。

1年以上のレッスンを重ねていますが、先月は会社のプレゼンテーションで10人程度の前で発表する機会がありました。若干詰まり気味でしたが、一歩前進していることを実感しました。

また、子供会の会長と地区の体育部長をこの一年間務めていますので、人々の前で挨拶など、話をする場が何度かありました。更に来年はPTA支部長、地区の班長を兼任しますので、人前で話す機会がますます増えることと思います。

今までの私の話し方、読み方は途切れ途切れで、引っかかりやすい話し方でした。現在、レッスンで新しい発語感覚を身に付けつつあります。

これからもレッスンを続けて、どんな時でも話し方を調節できる力を身につけていきたいです。継続は力なりと思っております。

※江田よりのコメント:
職場や地域で話す機会が多いことは何かと大変ですが、話す場面を多く持つことはレッスンを受けている受講生にとってはすべてがチャンスとなります。上手く活用して経験を重ねてください。

 人生には良い出会いが大切だと思います。

Iさん(愛知県在住 40歳 会社員 女性)

ある日突然、会社の電話で社名を言う際、言葉が上手く話せないという現象が起きました。7年前のことです。

ろれつが回らない感じだったので、脳外科でMRやCT検査・・・また、噛み合わせの問題かとも思い、大学病院の顎間接外来も受診しました。また顎の疲れを緩和するためマウスピースも作りました。しかし、どの医療機関も異常なし、の診断でした。

気持ちの問題だと思い、メンタルクリニックで精神安定剤を貰い飲む日々が続きました。 しかし、発語不安はどんどん増えていきました。(今まで言えていた言葉まで言えなくなる現象)

ある日、電話での「もしもし」が「もももも・・・」になった時、私は吃音か?と初めて思いました。インターネットでいろいろ調べました。ネット上には吃音に関する事がさまざま載っていました。

その中でさわやかカウンセリングを選んだ理由は、
1.値段が安い
2.電話でできる(私が一番嫌な電話で良い練習になる)
3.ホームページに惜しみなく吃音に関する情報を書いていた。(他のホームページは教材を買わなきゃ教えない、秘伝の発声法は簡単にな教えないなど、どのような内容なのか具体的に書かれていないという感じでした。)

でもなかなか連絡できずにいました。一時は自殺も本気で考えましたが、死ぬ気なら一度連絡してみようと思い思い切って連絡しました。

江田先生の話す内容は、なるほど~と感じる事が多く、ノイローゼ気味の私に森田療法に関する良い本も教えてくださり、とても参考になりました。

会社での電話応対は出来るようになりましたが、まだまだ発語予期不安は残っています(発語予期不安とは一生つき合っていく予定)。詰まる意識を受け止めていく気持ちの持ち方と、「伸ばす・つなげる・呼吸法」の吃音改善三原則を心に刻んで、これからの人生で話すことをもっと楽んでいけるようにしていきたいと思います。

※江田よりのコメント:
Iさんは日常会話では全くよどみなく話されますが、ご自分の内面では話すことのこだわりは深く、どもらないように話さなければと、とても神経質になっていました。
発語不安を否定することなく、安定した発語感覚を意識化して育てていくことが、改善の正しい方向性だと思います。